愛すべき日本に送る「真心」メッセージリレー
#08 ルイス・ハミルトン
涙を拭いて、未来を考えようとする
日本の人たちの気持ちは本当に素晴らしい
韓国GPのパドックでインタビューしたマクラーレンのルイス・ハミルトン。数日前に日本GPを終えて、その足で韓国に入ったという。ハミルトンにはあえて日本を襲った大震災に関して質問をぶつけてみた。1週間前には日本にいて、否が応でもそのことを考えさせられる環境にあったと思ったからだ。
─日本GPが終わってここ(韓国)へ来たわけですが、日本にいたときには東日本大震災のことについてなにか知ったことはありましたか。 「正直に言うよ。われわれヨーロッパに住む人間にとって、日本に行くまで震災の現実は遠いものだった。気持ちはいつも被災者に向けているつもりだったけど、そんなレベルの話しじゃない。日本に来てその緊張を直接肌で感じて、心が痛くなってしまった……」
─われわれは3月11日以降、ずっとその空気のなかで生きてきました。
「震災の写真や映像を見て、身のすくむ思いがした。いったい何人の命が失われたのか、そのとき彼らは何を考えながら流されてしまったのか……、彼らと同じことを考えてみようとしたけど、とてもそれは無理なことだった。本当に無念だったろうなあと……」
─そんなことを考えていてくれたのですか?
「でも、とてもじゃないが、考えは遠く及ばなかったよ……。残された人たちの気持ちを考えると、さらにつらい気持ちにさせられた。でも、僕が日本で会った人たちは、懸命に震災から立ち直ろうと努力していた。前向きに物事を考え、未来を見据えた話を僕にしてくれたんだ。もちろん、震災体験を忘れることなんてできないと思うけど、『いつまでもそんな傷跡に引きずられるのはごめんだ!』という気持ちが感じられたんだよ。涙を拭いて、自分たちの未来を考えようという気持ちなんだと僕は理解したよ。前向きに物事を考える姿勢は、本当にすばらしいよね!」
─山本左近や小林可夢偉も被災者や被災地に対して復興の手伝いをする活動を続けています。
「日本人である彼らががんばっているのは僕も知っている。われわれも可能な限りお手伝いができればと思って、もちろん協力を惜しまなかった。彼らは本当によくやっていると思うよ。日本のF1ファンは、左近や可夢偉の陰の努力を誇りに思っていいと思うよ」
─そうやって世界中に活動の輪が広がっています。私も一人の日本人として感謝したい気持ちでいっぱいです。
「僕は、世界中の人々が、恵まれない人や被災した人に対して助けの手を差し伸べるのはむしろ当然だと思っているよ。自分の境遇だってけっして満足ではないのに、『2本持っている鉛筆のなかから1本を恵まれない子どもにあげたいんだ』と言っていた子どもの話を僕は知っている。それが本来人間が持つべき正しい心だと思うんだ。
僕たちはF1ドライバーだから、グランプリが行われる国があるなら、それがどんな場所でも行くよ。日本GPは主催者や日本政府が安全を確認してくれて大丈夫ということで開催が決まったわけだから、それに参加しないなんていう選択肢はなかったね。
日本GPを楽しみにしていた被災者の人たちもたくさん来ていたと聞いていたから、彼らにわれわれが戦う姿を見てもらうことで、少しでも勇気を持って帰ってもらえたなら、本当にこんなにうれしいことはないよね!」
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取材・文=メディアジャパン Coverage by Media Japan |