あるぞよ、主な感染経路がキスによる経口感染という病気が。ワシらは“ファーストキス病”と呼んだりするが、アメリカでは一般的に“キス病(Kissing disease)”といわれておる。日本での正式名称は“伝染性単核球症”といい、EBウイルスの感染によって起こる病気じゃ。 9月〜10月頃、ハイティーンの若者が病院へやって来て「喉が痛い、熱がある」という症状を訴える。扁桃腺もモッコリ腫れるから、扁桃腺炎として抗生物質を処方したりするんじゃが、ウイルスを起因とする病気なんで抗生物質なんかじゃ治りゃせんわ。5日くらい経っても治んないから再診して、「念のため」と血液検査をすることになるのだ。そして驚愕の事実を知ることになる。 血液検査をすると、GOT・GPTの値が上がっている。数百なんて数値のこともあったりで「アナタ!、肝臓が悪い!!肝炎じゃ〜! ただちに入院しなさい!」 そしてワシらのような専門医のところへ紹介される。入院の準備までして。で、ワシが診てハハ〜ン、「ネエネエ、熱って夕方に上がるでしょ?」コックリ。「じゃあ、1か月くらい前にファーストチュッチュした?」コックン。「安心してけろ、“ファーストキス病(伝染性単核球症)”じゃよ」。肝炎全てが入院適応とならないことはベツの機会にお話しするとして、食事食べられるなら自宅安静、で一件落着。 ちなみに、この病気を引き起こすEBウイルスは、ほとんどの人が幼児期の段階で感染しておる。幼児期だと感染しても多くは軽い発熱・咽頭痛ぐらいしか起こさんから、「風邪引いちゃったネ」で終わる。しかし体は反応して、ちゃんとウイルスに対する抗体(免疫)が体内へ備わる。だから、多くの人は次に感染をうけても発症しない。 しかし、まれに抗体をもたずに成長してしまう人がいるんじゃな。そういう人が初めて他人とキスをして感染したりするんじゃよ。ひと夏の経験であるファーストキス。しかし、EBウイルスに感染し、1〜2カ月の潜伏期間を経て、9〜10月に発症するんじゃな。ワシも年に1人ぐらいは診ておる。多くの場合は熱が治まるのに2〜3週間程度。ウイルス性の病気じゃから、はしかと同じでほっといて自然に治るのを待つしかない。ま、恋の病と同じ治療法じゃわい。あ、そうそう、回し飲みでも感染するよ。 ●次のページは、「若槻千夏さんが患ったという潰瘍性大腸炎って、ヤバい病気?」