お岩さん 役得ねぇ……。タレントと仲良くなれるとか? でも僕の場合、タレントと仲良くなりすぎて不必要にテンション上がるのがイヤだから、一線引いて付き合ってるとこあるし。あまり思いつかないなぁ。
ガイコツ そうだ、オレ、木村カエラが大好きでさ。カエラちゃんがある歌番組に出るって聞いて、別のレギュラー番組からもらってるテレビ局のパスを使って歌番組のスタジオに潜り込んで、ライブ気分で楽しんだことがあるよ。すれ違うとき、スタッフみたいな顔で「お疲れでしたぁ」とか普通に挨拶したりして。あれはちょっと役得だったかも。
Charger 放送作家さんって、企画会議に顔出すだけでギャラもらえるって話を聞いたこともあるんですけど。
お岩さん ああ、そういうのは40代後半以上の作家の話。放送作家といっても、まず企画に合わせてネタ集めするリサーチャーがいて、僕らみたいに集まったネタをまとめて台本を書き上げる作家がいる。会議に顔だけ出して適当なアイデア喋って帰ってくのは、業界歴長くて自分じゃ台本もほとんど書かないお偉いさんなんだよね。僕らみたいな若手作家は、下手したらスタッフロールに名前も出ない。
ガイコツ そういうのも、今後はなくなっていくんだろうなぁ。最近は、局のディレクターから直接仕事を請けて、リサーチャーから台本書きまで便利屋的に自分でやっちゃう作家が増えてるし。ケーキとかの差し入れ持参で夜通し編集に付き合ったりしてさ。
お岩さん ええー、そんなのが当たり前になっちゃうとイヤだなぁ。僕も早く偉くなって、会議で無茶なアイデア喋ってるだけでお金稼げるようになりたいと思ってたのに……。だいたいさ、会議で捨て台詞みたいにアイデア出していく大御所って番組制作予算が豊富だったころの人たちだから、お金が掛かりすぎて使い物にならない企画ばっかしなんだよね。大御所が帰った後で、僕らが「さて、じゃあ現実的にどうしようか」って使える企画を考えてるんだもん。
ガイコツ そもそも、リサーチャーから叩き上げてこそ面白い放送作家が生まれるところがあるもんね。オレなんか、リサーチャーの仕事にプライドもってやってたし。たとえば「トンカツがダイエットに効果的」みたいな無理めのネタに協力してくれるドクターを捜すとか、リサーチャーなくして番組は成立しないんだもん。鉄則は「相手の発言を否定しない」ことと「絶対にあきらめない」こと。最近の若いヤツのアポ電話聞いてると、すぐに「いや、でも」とか言ってるから聞いててイライラする。相手をいい気分にさせながらこっちが望む結論にもっていくには、「いや」も「でも」も使っちゃダメなんだよな。
お岩さん ほんとに、このままじゃテレビがどんどんつまんなくなっちゃうよね。
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