[月刊チャージャー]

バックナンバー 2006年11月号
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【連載】好きが高じてわらしべ社長/青葉 国立ファーム 代表取締役社長 高橋がなり 性欲と食欲、二大欲を制覇しちゃったら誰も俺に逆らえなくなるんじゃない?
 2006.11 CONTENTS
 Theme No.1
Theme No.1大手メーカーで働く女性係長にして、週末は「海のオンナ」
 Theme No.2
Theme No.2竹原慎二のボコボコ相談室 Round.13
 Theme No.3
Theme No.3性欲と食欲、二大欲を制覇しちゃったら誰も俺に逆らえなくなるんじゃない?
 Theme No.4
Theme No.4サラリーマンのための水着ヨガ教室! Lesson.2
 Theme No.5
Theme No.5牛丼復活吉野家に「ココが聞きたい!」丁半コロコロが「不安」を代表質問
 Theme No.6
Theme No.6ぼくらの一人暮らしをグレードアップ!エプロン美女の手料理教室
 Theme No.7
Theme No.7医者も現場で困っとるんじゃ。今回は「薬」にまつわるお話をば。
 Theme No.8
Theme No.8毎週更新! コレジャナイロボ THE STORY
 Theme No.9
Theme No.9マイクを置き、販売員・運転手へ転じた後再びボーカルの道を進むその生き様とは…
 Theme No.10
Theme No.10神足裕司の頭隠してロングテール
 Theme No.11
Theme No.11中学時代、ボランティア部でした。愛されるより愛したいタイプだからかな。
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最悪、俺が10億、失うだけ。
最高で、二大欲を制覇できる。


SODを辞めることに決めてから、次のことをいろいろ考えてました。俺、今まで好きなことやったことが一度もなかったんです。だから今度は好きなことをやろうと思ったんだけど、でも何も思いつかなかったんですよね。好きなこと、なにもなかったんです。その頃に、地元の国立市で10坪の市民農園を借りて農業をはじめたんです。それがねえ、おもしろかったんですよ。人を育てるのは5年6年かかるけど、野菜は半年で育つ。一生懸命育てればいい野菜ができるし、一生懸命やらなければダメな野菜になる。こんなに結果が出やすくておもしろいものはないなあと思ってね。地方に適度な規模の農地を買って、農業やって、のんびり暮らすのもいいなあって思いはじめた。

青葉 国立ファーム 代表取締役社長 高橋がなり
で、農業界ってどんな業界なんだろうといろんな本を読んでみたら、なんだかけしからん業界だということが分かってきたんですよ。既得経営者たちが、既得権益を守って、やる気のある人たちの邪魔をしてるんです。農業ってね、モノづくりなんですよ。農業する人はクリエイターなんですよ。かっこいいんです。何事もね、経営屋がえらいんじゃなくて上流工程である生産者のほうがえらいんですよ。モノをつくってない連中が主役になる社会なんておかしいでしょ。

もう、俺がAV業界に入ったときとそっくりな状態なの。こういう現状を分かっていて、SODを辞めるときに奪った12億円というお金を持っていて、僕は善良な農家ですって顔するのはずるいでしょ? 無理でしょそれ。俺ね、力のあるやつが力を使わないなんて、他人にも許さないし自分にも許さない。しょうがない、農業改革するかという結論に至っちゃったんですよ。俺が楽しく農業をするために、この12億円を使って農業改革をしようと。農家の人たちにとって住みやすい社会づくりをしたあとで、そのひとりになれればいい、と。

俺ね、国立市の『農業を考える会』にも、市民代表として、論文書いて選考されて参加してるんですよ。この8月に、国立の地主さんと契約して『トロ箱野菜』を栽培する農場<4a農場>をつくりました。ここでつくった野菜をね、トロ箱のまま『活野菜』として、12月にプレオープンする飲食店<農家の台所>に置くんです。活魚があるんだから、活野菜があったっていいでしょ? その場で収穫して、調理して、出すんですよ。他にも、フランスから画期的な野菜の種を取り寄せて試験栽培をやったりもします。地方にはない、都市農業ならではの可能性を生みだしたい。

でもね、この会社、99%失敗しますよね。儲からないですよね、はっきり言って。青葉 株式会社 国立ファームは<農家の台所>をオープンして、その後八百屋を多店舗展開し農場を増やしていく予定なんですけど、皮切りの<農家の台所>なんて絶対に利益が出ない店なんですよ。接客は大事だからバイトじゃなく全員社員でやるし、野菜もいいものにこだわって取り寄せたりするから送料もかかるし。

だいたいねえ、この店、内装やらなにやらで、オープンまでに1億円くらいかけてるんですよね。仮に利益が月に100万円として…1年で1200万円。10年経った頃には時代も変わってるでしょうしねえ。絶対儲からないですよね、これ。

青葉 国立ファーム 代表取締役社長 高橋がなり
入口に一番近い所が高橋氏の席、フツーの会社ではありえない
でも、この店は儲からなくてもいいやと思ってやってます。うちはこのくらい本気で農業のことを考えてますよということを、店を通じて知ってもらえればそれでいい。会社もね、俺は今回も10年ちょっとで辞めるよ、それで農家をやるよと宣言してるんです。10億、全部使いきってつぶれちゃったっていいんです。やったんだけどダメだったっていう、「正義」が残るから。残ったお金で細々と農家をやっていけばいいんだから。


夢はありますよ。『性欲と食欲の二大欲を制覇する』こと! 俺に逆らうと、おまえら快楽を味わえないぞ! ってね。あと、AV業界でやったように、農業界にも新しい流通ルートをつくりたい。成功する可能性はもちろんあるんですよ。でも、絶対成功するという保証があったら、俺は今やめちゃいますね。先が見えたらつまんないもん。『みんなはできないって言うけど、俺はできると思う』ことに、挑戦してるのがおもしろいんです。

最悪の場合は俺が10億失って、おもしろかったねと言って、ここにいるみんなで職を失うの。でもね、その時には絶対に、みんな農業界のどこかに引っ張られていきますよ。それもまた、農業改革のための礎になるかもしれない。

俺、今、すごく楽しいんですよ。これだけ優秀な人たちが集まって、毎日、朝から晩まで俺に付き合ってくれる。俺が思いつきで言うことに、あたふたあたふたしてくれる。夢は買えるわ、毎日おもしろいことはできるわ。こんな楽しい10億円の使い方、ないですよね。

国立ファームは今、百姓募集中です。この間、9人に内定出したんですが、内定出した瞬間に8人辞退してきましてねぇ。みんな、いざとなるとびびっちゃうんだから。会社の規模の小さい今だったら、俺自身がマンツーマンで殴る蹴るの指導ができますよ。あ、ちゃんと給料払いますからね、俺の金が続く限りは。



構成/白輪理子
撮影/増田岳二


青葉株式会社/国立ファーム
社長の遺言 三度目に成功する人生論青葉株式会社/国立ファーム設立準備室
■『社長の遺言 三度目に成功する人生論』高橋がなり/著

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