―コレジャナイフロント医務室―
意識不明のオニカを囲み、座る三人。博士はジョーと藍に話し始めた。
博士「コレジャナイエネルギーは、増幅し、運用するにあたって、大きな一つの問題があったんじゃ。それが“エコー”という現象じゃ。“エコー”とはつまり、コレジャナイエネルギーの“漏れ”から生じる反響の事じゃ。増幅したコレジャナイエネルギーにはどうしても“漏れ”の様なものが生じる。クリーンエネルギーであるコレジャナイエネルギーだが、強いて言えばこれが廃棄物と言えるものじゃった。この“漏れ”は、外的にはほぼ問題にはならん。じゃが、乗り物等の場合、出力補助や制御を行っているパイロットに影響が起こってしまうのじゃ。これを抑える事が、コレジャナイエネルギーを運用する上で一番の課題じゃった。勿論、“コレジャナイシステム”においてはもう、それはクリアされとるがな…」
藍「エネルギーが漏れると、どういう事が起こるの?」
博士「“漏れ”はパイロットの精神に干渉する。増幅したエネルギーがパイロットにフィードバックされてしまうのじゃ。ワシは“漏れ”を抑える研究をすると同時に、エネルギーの特性に「反発」を選ぶ事で万が一の危険を回避した。反響する事があっても「反発」であれば、エネルギーの相殺により、出力低下が起こるだけじゃからな。じゃが、マジ総統のやり方は違っていた。順方向のエネルギー特性を持つ「欲望」を利用したホシーシステムでは、反響により、エネルギーの異常増幅が起こる危険があった。奴はその危険をも利用しようと考えておったのじゃ。」
ジョー「俺も“エコー”については少し聞いていたが…なるほど、大体解ったぜ。ホシーシステムでのそれは、言わばマイクのハウリングみたいな現象を起こす訳だ。マイクの音がスピーカーから出力され、出力された音がまたマイクに拾われる。元の音と重なったそれは出力を倍化する。そしてまたそれが出力され…って具合か。」
博士「そういう事じゃ。奴はそれを、車で言うターボの様に考えておった。そしてそれを機構化したものが『エコー・オーバードライブ』じゃ。じゃが問題なのは、コレジャナイロボのエネルギーは、一部とはいえ人を媒介としておる。人間はマイクとは違う。エコーによるエネルギー増幅は、精神に大変な負荷をもたらす。ともすれば、パイロットを廃人に…いや、殺しかねんのじゃ。」
藍「解るわ。私が戦闘中に受けたあの感じ、あれを二重三重と重ねられたら…」
博士「藍は、若干感じてしまった様じゃったな… そう、あれは人間に絶えられるものではない。」
ガチャリ…
医務室の別の部屋からコレジャナイフロント医師、矢武が出てきた。
矢武「やはりビンゴじゃったよ…」
博士「こ、これは…!」
渡されたカルテを見ると、博士は息を呑んだ。
博士「奴め、やはりやっておったか。恐ろしい事じゃ…」
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